西日本実業柔道連盟
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厚生労働大臣杯争奪第57回全日本実業柔道団体対抗大会  広島市東区スポーツセンター
男子第一部 勝ち上がり表>>
順位 団体名
優勝 旭化成A
2位 了コ寺学園
3位 綜合警備保障
3位 平成管財

男子第一部は実業柔道界のフルメンバー、綺羅星の如きスター選手が結集した。加えて、平成管財はアジアの強豪、ウズベキスタンのA・タングリエフを選手変更(追加)登録。豪華な顔ぶれが集う大会で、綜合警備保障の連覇なるか、旭化成Aの雪辱は如何に、2トップを揃えた平成管財の戦いぶりは?はたまた、悲願の初優勝を狙う了コ寺学園の活躍は、等々ファンの期待が否応無く高まる中、広島市東区スポーツセンターでは熱い戦いが繰り広げられた。

準決勝戦第1試合

昨年の覇者の綜合警備保障は、ファン期待のスーパースター井上が故障欠場し、二番手の生田が今大会では精彩を欠いて、思わぬ苦戦を強いられる。一方の了コ寺学園は、軽重量級選手中心のチームながら、強豪の日本中央競馬会を接戦の末、降して駒を進める。了コ寺学園の選手は、この試合でも大型選手を相手に奮闘。柔道の醍醐味を存分に発揮して初の決勝戦進出を果たした。

準決勝戦第1試合

綜合警備保障  0   −   2  了コ寺学園

(先鋒) 小野 俊教 3段 引分   矢嵜 雄大 4段
(次鋒) 大藤 尚哉 3段   合せ技 竹澤 稔裕 4段
(中堅) 生田 秀和 5段   引分   飛塚 雅俊 4段
(副将) 工藤 瑠輝 4段   優勢勝 佐藤 武尊 3段
(大将) 村上 和幸 3段   引分   小野 卓志 4段

先鋒戦。けんか組み手、共に90kg級の対戦。序盤は組み手争いが続く。1分過ぎ、小野は双手刈で飛び込むが矢嵜に潰され、伏せった所を矢嵜が寝技で攻める。その後、矢嵜が徐々に組み手を制し始め、苦し紛れの小野は朽木倒で急場をしのぎ、その小野を矢崎が執拗に寝技で攻める展開が続く。終盤、今度は矢嵜が朽木倒で小野の太腿を抱え込んで場外に落すが、小野は辛くも体を捻って逃れる。時間切れ寸前には、矢崎が俵返で小野を裏返そうと試みるも、小野は体を捻ってうつ伏せで着地。中盤以降は矢嵜の攻勢が続いたが、小野は辛くも逃げ切る。

次鋒戦は、左組み同士ながらも体格差のある両者の戦い。35秒に、巨漢大藤は90kg級の竹澤の首を抜いて、片奥襟から飛び込むような内股巻込で技ありを奪う。続く58秒、今度は同じ組み手から大内刈で有効。その後も同じ攻撃を重ねるが徐々にスピードが鈍り、また大藤の技にタイミングが合って来た竹澤はこれを受け流す。だが、防御一方の竹澤に3分25秒、指導1。試合の流れは大藤と見えたが、3分40秒、後が無い竹澤が釣り手不十分ながらも大藤を前に引き出し、乾坤一擲の内股を放つと、大藤は大きく横転し、技あり。竹澤はそのまま肩固で抑えて20秒経過。合せて一本。竹澤劇的な逆転勝で、了コ寺学園が先勝。

中堅戦。井上欠場で綜合警備保障随一のポイントゲッター生田は、右で奥襟を狙うが、飛塚はこれを嫌い、組み際に飛び付き、あるいは潜るなどの奇襲に出る。生田は、時折、十分に組み止め内股を放つも、今日はいつもの切れが乏しく不発に終わる。結局、生田は飛塚の変則な動きに翻弄され、痛恨の引分。

副将戦は、けんか組み手の重量級同士の対戦。試合は、巨漢工藤が器用に左組みから右小内刈で佐藤を潰し、寝技での攻撃から開始。45秒、今度は佐藤が工藤をうまく前に引き出し、右小内刈で効果を奪う。その後は、体格で劣る佐藤が工藤を翻弄し、小内刈、袖釣込腰などを仕掛け、工藤の動きを封じる。2分52秒、攻めのない工藤に指導1。その直後の3分1秒、攻勢に転じようとする工藤の出端を衝いて、佐藤得意の小内刈で技あり。その後、佐藤は工藤をうまく捌いてブザー。了コ寺学園が初の決勝戦進出を決める。

35kg差のある大将戦は、序盤から中盤にかけて巨漢村上が左内股、小外刈などで攻めるが、中量級の小野はこれをよく防ぐ。中盤以降、今度は小野が激しく動いて、右内股で村上を攻めるも今一歩及ばず。終盤は互いに相手の動きを伺いながら時間が経過し、引分。

準決勝戦第2試合

故郷広島での大会開催が内定した時からこの大会を楽しみにされていた山口信夫会長の見守る中、昨年準決勝戦敗退の雪辱を期す旭化成Aと、エース鈴木の一枚看板に、ウズベキスタンから大会前日に来日したアジアの強豪、A・タングリエフが加わって厚みの増した平成管財との興味深い一戦。2年ぶり12度目の優勝を目指す旭化成Aは、主将の高橋が、鈴木との一戦を引分けると、大型選手に強い泉が、助っ人タングリエフを巧みな柔道で翻弄。旭化成Aが全員柔道で平成管財を退け、決勝戦に駒を進めた。

準決勝戦第2試合

旭化成A 2   −  0 平成管財

(先鋒) 高井 洋平 4段 (指導1)   百瀬 晃士 3段
(次鋒) 齋藤 制剛 4段   引分   里山 裕晃 4段
(中堅) 高橋 宏明 5段   引分   鈴木 桂治 5段
(副将) 泉  浩 4段 優勢勝 A・タングリエフ 4段
(大将) 村元 辰寛 5段   引分   筒井 宏樹 4段

先鋒戦。先手必勝を期して登場の高井。対する81kg級の百瀬は、大学で高井の先輩に当たり、手の内を熟知した仲。加えて高井は左足肉離れで万全な状態ではない。そんな高井が、盛んに左に組み止めようとするも、百瀬は組み止められるや直ちに巴投で身を捨て、高井の攻撃を中断するクレバーな柔道に終始する。組めない高井は振り回すように支釣込足などの力技に頼るが、効なく時間が経過する。中盤の3分24秒になってようやく、引分狙いの百瀬に指導1。しかし、その後も百瀬は高井に引き手を許さず動き回って、遂にブザー。高井は不完全燃焼なれども、まず1点を先勝した。

145kgの巨漢里山に90kg級歴戦の強者、齋藤が挑む次鋒戦。体重差が55kgある里山に対し、力負けのしない齋藤は右で奥襟を掴み、幾度も払腰を仕掛ける。これに対し、里山は左内股で応戦。齋藤、その度に体が宙に浮くが、必ず伏せてポイントを与えず。終盤には、齋藤の攻撃はいよいよ激しくなるも、里山はこれを防ぎ切って時間。引分ける。

中堅戦。ここで何とか挽回したい平成管財はエース鈴木の登場。対する旭化成Aは主将の高橋。幾度も切所において存在感を発揮して来た高橋は、鈴木の左釣り手を徹底的に殺し、組み手を封じる。50秒には、鈴木の十八番の小内刈が飛ぶが、高橋、体を捻って難を逃れる。あわやと思えたシーンもここまで。後は、高橋の巧みな組み手に鈴木の技は封印される。一方、高橋は片襟からの大外刈を狙うが、効なし。終盤は、鈴木の動きも乱れ、危うく指導かと思われるシーンも見られる。両者息詰まる組み手の攻防の中、瞬く間に5分間が終了し、引分ける。

副将戦。大会前日に来日し、登録手続きを済ませたばかりのアジアの強豪、ウズベキスタンのA・タングリエフが登場。泉との興味深い一戦。序盤、タングリエフは泉の後ろ帯を握り振り回そうとするも、泉も心得て体を捻って逃れる。1分過ぎには泉が一本背負投を試みるが届かず。技の少ない両者に1分45秒、指導1。2分過ぎ、組み手の厳しい泉に、タングリエフは隅返で泉を回転させるが、泉は難なく捌いて寝技で攻める。試合再開後の2分37秒、泉は釣り手、引き手共しっかり握り、遠い位置から左刈足を直に伸ばし、前に全体重を掛けて鋭く大外刈に刈込むと、タングリエフは背中から後方へ倒れ、技ありとなる。その後、タングリエフは、猶も泉の後ろ帯を掴み振り回すが、泉はこれをよく捌きながら、多彩な技で逆襲する。続く4分31秒には、泉は帯を持つタングリエフの懐に飛び込み、巻込小内刈で有効を奪う。時間切れ寸前には、泉の大内刈から寝技になった後、体を入れ替えたタングリエフが咄嗟に、腕挫十字固で逆を取ろうとする。一瞬緊張が走るも終了のブザーが響き、旭化成の2年ぶり決勝進出が決まる。

勝負の決した大将戦は、両者互いに奥襟を狙う攻防が続く。村元は筒井に圧力を掛け、場外付近に追い詰める。筒井は単発で払腰や組み際の送足払を放つが、村元は無造作にこれを受け流す。両者共、単調な動きが続き、4分38秒に両者指導1。時間切れ寸前に、村元は小外刈から筒井を横に大きく振るが、筒井よろめくもこれを残し、時間切れ引分。

決勝戦

旭化成はA、エース高井が左足故障で欠場。そのため、了コ寺学園と同様、旭化成も重量級のメンバーが比較的少なくなり、素早い動き、激しい技の攻防の決勝戦が期待された。しかし、生憎、重量級に中量級、軽重量級が当るオーダーとなり、互いに警戒して手数の少ない神経戦。勝負の行方は、最後の大将戦までもつれ込み、最終のブザーが鳴るまで予断を許さない白熱した戦いとなった。結果、地力に勝る旭化成Aが接戦を制し、2年ぶり12回目の第一部制覇。

決勝戦

了コ寺学園  0  −  2  旭化成A

(先鋒) 飛塚 雅俊 4段   引分   村元 辰寛 5段
(次鋒) 小野 卓志 4段   引分   増渕 樹 3段
(中堅) 竹澤 稔裕 4段 (指導2) 泉  浩 4段
(副将) 佐藤 武尊 3段   引分   齋藤 制剛 4段
(大将) 矢嵜 雄大 4段   (指導2) 高橋 宏明 5段

先鋒戦。両者左組み。村元は飛塚に圧力を掛けて前に出る。まともに組み合えば勝機のない飛塚は、組まず、時折飛び付いて奥襟を狙う、そして隅返でチャンスを伺う。両者、互いに決め手なく時間が経過した2分49秒、動きの止まったところで両者に指導1。その後も同じ展開が続き、技らしい技の応酬もなく試合終了。引分。

次鋒戦は、小野右組み、増渕左組み、けんか組み手の中量級同士の対戦。序盤、両者引き手争いに終始。増渕は盛んに内股で攻めるも、引き手不十分で技の効果は乏しい。一方の小野は増渕の動きをよく見て、機を伺うも技は出ず。中盤に入っても同じ展開が続き、ようやく小野に組み際の朽木倒、小内刈が出始める。増渕は猶も内股一本で攻めるが、引き手不十分のため小野は余裕をもってかわす。結局そのまま時間を浪費し、先鋒戦に続き引分。

中堅戦。両者左組み、90kg級の同じ階級同士。序盤は互角の戦いであったが、徐々に泉の手数が増える。2分5秒、技の出ない竹澤に指導1。その後も、泉は竹澤の出端にカウンター気味の一本背負投を連発。何度か竹澤は大きく転がるも伏せて着地。更に4分7秒、技の乏しい竹澤に指導2が与えられる。その後も泉は一本背負投を連発し、そのまま時間。泉の優勢勝で旭化成Aがリード。  

副将戦。佐藤右組み、齋藤左組みの両者、幾度か技が潰れ、伏せた佐藤を齋藤が寝技に引き込もうとするが、佐藤が体重を掛けて畳に居付く。齋藤は幾度もこれを試みるが果たせず。試合中を通じて両者は組み手を制することが出来ず、効果ある技の攻防なく、引分ける。

旭化成Aが1点リードで迎えた大将戦。左組み同士の両者は、厳しい組み手争いを展開。矢嵜は高橋に釣り手を許さず、高橋は、矢嵜のタックルを警戒する。44秒、技の出さない両者に指導1。矢嵜、ポイントを上げなくば、チームの初優勝成らず。何としてもとばかり、盛んに攻撃の機を伺うも、歴戦の強者の高橋もこれを落ち着いて捌く。1分58秒には、矢嵜は高橋の袖口グリップをアピールして、後ろに退き不用意に場外に出て指導2を受ける。リードした高橋は、その後は無理をせず、矢嵜の奇襲に備える。矢嵜、機を伺うも果たせず、時間。 慎重な試合運びに徹した高橋が優勢勝し、旭化成Aの12度目2年ぶりの優勝が決定。優勝決定の瞬間、高橋は両手を水平に上げて喜びを控えめに表わした。

尚、男子第一部は、第1回戦敗退の東芝、九州電力、東レ滋賀、京葉ガスが第二部に転落した。

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