今年、当連盟は設立50周年の記念すべき年を迎え、その記念事業の一つとしてフランスに連盟役員を派遣し、日本伝来の柔道がフランスにおいて長く根付き、広く国民スポーツとして普及している理由や、組織と運営、指導・普及活動などを調査研究することを目的とした視察を行った。今回は従来の若手指導者の柔道実技を通した交流から観点を変え、連盟役員が広い視野でフランス柔道界の要人と交流を図り、今後の実業柔道の発展に資するに主眼を置いた。
出発直前まで気をもんだのは、フランス柔道連盟とのスケジュールの調整や通訳の選定などの事前準備がスムーズに進まず不安が山積していたことであるが、次の3氏の尽力で今回の調査視察は成功裏に終えることが出来た。
まず、森当連盟会長(関西電力会長)自らパリ事務所に連絡されていたことで、一行が大きな安心感を持つことができたのと併せ、勇気を与えていただいた。
次にフランス柔道連盟ルージェ会長の懐刀である広報統括責任者のミシェル氏である。氏は細部にわたるスケジュール調整と要人との直接のディスカッションの計画・設定、更には国内大会の団体戦で優勝したチームへのプレゼンターという大役を私に委ねるという粋な計らいをしてくれたこと。また、国立スポーツ研究所(INSEP)では入り口の掲揚台に大きなフランス旗と日章旗を掲げる粋なはからいまでしてくれ、一行は感激すると共に、文字通り国を挙げての歓迎ぶりに今回の視察の責任の重大さを痛感した。
最後に萩原氏(通訳:宮崎商⇒天理大卒、柔道6段。フランスで柔道の在外指導者)は柔道人で個人的にも私が萩原氏の父親を知っていたこともあり、フランス柔道連盟との打ち合わせでは汗をかきながら口角泡を飛ばしての通訳により、国を超えて柔道の本質を議論させていただくことができた。この3氏のご厚情により、人との関係の大切さを実感した。また、6名のメンバー一人一人が自分の役割を認識して活躍されたことは大きな成果でもあった。
出発から帰国までお世話になった方々へ改めてお礼を申し上げます。
|