先鋒戦は、永井の相手は注目の井上。171cm、126kgと重心の重い永井が井上にどう挑むか。永井は5年前の第51回全日本実業柔道団体対抗鳥取大会の準決勝戦で井上と対戦。敗れはしたが、井上の鋭い投げ技を重い腰で悉く受け、井上に一本を与えず、その存在感を発揮している。今回、井上の復調を図る上で興味のある一戦でもある。
試合が開始されると、永井は井上が組もうとする瞬間に技を仕掛け、井上を翻弄、井上に攻撃の暇を与えない。しかし、1分を過ぎる頃から井上が徐々に攻勢に転じ始め、素早い動きから大内刈、内股を連発。遂に、1分50秒に井上は、組み際の永井の一瞬の虚を衝き、奥襟を掴むや否や永井の股間に深く飛び込む内股。瞬間、永井の下半身は大きく跳ね上がり、虚空で半回転して裏向けに。勢い余って井上の引き手は離れるが、永井の巨躯は天井を仰いで畳に沈む。
次鋒、170cmの小野対191cm長身の佐藤の戦い。小野が背負投、双手刈、大内刈と攻め立てるも、佐藤はどっしりと組んで受け流す。しかし、3分53秒に小野は右組みから左一本背負と見せて左大内刈を仕掛ければ、佐藤は横転し有効の宣告。続く4分3秒には技の止まった佐藤に指導1が与えられ、そのまま時間経過。新日本製鐵2点のリードを許す。
中堅戦。大藤対森田、巨漢同士の戦い。開始早々8秒大藤の右組みから左の内股に森田は虚を衝かれて横転。有効のコール。しかし、1分15秒には森田が大藤の腕を右で抱えて大外巻込で効果を奪う。続く2分25秒、大藤が飛び込んで掛けた大内刈を、森田が見事な大内返しで技ありを奪う。そのまま上に圧し掛かり崩袈裟固で押さえ込む。新日本製鐵1点を挽回する。
副将戦は、喧嘩組み手の両者、共に組み手争いで42秒に両者指導1、1分35秒には指導2を受ける。しかし、2分39秒には落合が払腰気味に右足を踏み出した瞬間を、村上が左足で払えば落合は微妙な姿勢で横転、これが効果となる。落合は猛反撃に移るが、一歩及ばずブザー。この瞬間、綜合警備保障の5年ぶりのV達成成る。
大将戦。体格の勝る生田が、高橋を内股、大外刈で揺さぶる。高橋は攻撃の機を窺うも、生田は攻撃の暇を与えず。生田は52秒に大外刈で揺さぶり、続いて体勢の崩れた高橋に、飛び込んでの内股を放てば。高橋の体は大きく宙を舞って落下。高橋は得意の組み手に持ち込むまでに、生田の速攻に屈した。
綜合警備保障は、井上、生田のベテラン勢と村上等若手選手がうまく噛み合って、旭化成Aの5連覇を阻み、新日本製鐵の悲願を打ち砕いた。試合終了後、綜合警備保障チームは5年ぶりの優勝の喜びに沸き返った。井上は、3試合とも鮮やかな一本勝で自身の復活を印象付けた、否、それ以上にチーム優勝の原動力となった。
|