西日本実業柔道連盟
大会日程 試合結果 活動内容 連盟概要 加盟会社一覧 リンク
戦評
試合結果・入賞者一覧
大会要項
試合結果トップページ
厚生労働大臣杯争奪第56回全日本実業柔道団体対抗大会  北海道立総合体育センター
男子第一部
順位 団体名
優勝 綜合警備保障
2位 新日本製鐵
3位 旭化成A
3位 了徳寺学園A

 男子第1部は、隙のない布陣の旭化成Aが5年連覇を成し遂げるか、昨年準優勝の新日本製鐵始め他チームが旭化成にどのように挑むか、また、1年半ぶりに試合復帰した綜合警備保障の井上の復活はなるか、等々興味尽きない中、ハイレベルの戦いが繰り広げられた。尚、試合時間は男女とも第1部は5分間。

準決勝戦第1試合

 準決勝戦第1試合は、準々決勝戦の対九州電力戦、対ダイコロ戦を共に5対0の完封勝利で駒を進めた旭化成Aと綜合警備保障との対戦となった。0対2と2点のリードを許したまま迎えた副将戦、一本勝以外に逆転勝の望みがない極限状況におかれた旭化成高橋が、遮二無二出て行ったところを、新人村上に返し技で敗れるという番狂わせがあり、旭化成の五連覇の夢が打ち砕かれた。後半には旭化成Aが挽回して同点となり、高井対井上の代表決定戦という、またとない一戦への密かな期待が、もろくも潰えた一瞬でもあった。

準決勝戦第1試合

    旭化成A      1   −   3   綜合警備保障

(先鋒) 泉 浩 3段 送襟絞 井上康生 5段
(次鋒) 松山 毅 4段   引分   大藤尚哉 3段
(中堅) 大鋸 新 5段   横四方固 生田秀和 5段
(副将) 高橋宏明 4段   内股透 村上和幸 3段
(大将) 高井洋平 3段 内股   小野俊教 3段
 先鋒戦は、泉対井上の注目の一戦。序盤、泉は積極的に井上を攻め、数回、肩車に井上を担ぎ上げようとするが、あと一歩で井上にかわされる。1分26秒、両者に指導1。その後、井上が組み手を制し始め、神速の内股、大内刈で反撃を開始する。動きの止まった両者に指導2が与えられて間もなく、泉の潜るような右背負投が潰れ、畳に伏せるや、井上は泉を裏返しにして背後に付き、送襟絞に。泉に「参った」の動作があったように見えるも、試合は続行。井上は絞め直すように再度姿勢を入れ直して深く絞めを続行すれば、3分36秒、泉不覚を取る。

 次鋒は、松山対大藤の巨漢同士の対戦。両者技が殆ど出ず、47秒に両者指導1、1分30秒に指導2、2分36秒に指導3を受ける。その後も両者に見るべきポイントがないまま残り1分を切った終盤、大藤が技の動作をするも、すっぽ抜けるように場外へ倒れると、審判の協議に。偽装的攻撃か否かの微妙な判定協議の結果は、そのまま試合続行との結論となり試合終了。ここで、大藤に指導が与えられれば、大藤の一本負によりタイに持ち込む所、結果的にこの引分が旭化成A敗退の遠因となる。

 中堅は、大鋸対生田。これまた大型選手同士の対決。がっぷり組み合った両者であったが、2分10秒、生田が支釣込足で大鋸を転がし、横四方固で押さえ込み一本。旭化成A絶体絶命の窮地に追い込まれる。

 副将戦。組み手争いで47秒に両者指導1を受けた後、後のない旭化成A高橋は何としても一本を取らなければ、チームの敗戦が決定するとあって、無造作に、しかも不十分な姿勢で村上の股間に左足を入れ、前に押し込む。その動きに村上は体を捻るように反応すると、はずみの付いた高橋は畳に横転する。主審は「一本」の宣告。高橋の焦りに陥穽が潜む。痛恨の一本負。

 勝負の決した大将戦は、1分44秒、組み手争いの両者に指導1。その後は、高井が内股、大内刈で小野を攻め込む。うまく高井の攻撃をかわしていた小野だが、残り51秒、遂に高井の大内刈から内股への得意のコンビネーションに畳に打ち据えられる。大将高井、一矢報いる意地の一本勝。  
準決勝戦第2試合

 準決勝戦第2試合は、昨年準優勝の新日本製鐵と、昨年第3位の了徳寺学園Aとの対決。両雄の勝負は、第1試合と同じ展開となった。新日本製鐵は先鋒戦永井が先制し、中堅森田、副将落合がリードを広げて快勝した。

準決勝戦第2試合

新日本製鐵     3   −   1 了徳寺学園A

(先鋒) 永井亮平 4段 袈裟固   竹沢稔裕 3段
(次鋒) 吉永慎也 4段   引分   飛塚雅俊 4段
(中堅) 森田祥一 3段 指導3   矢嵜雄大 4段
(副将) 落合幸治 3段 優勢勝 中野 竜 3段
(大将) 高橋徳三 4段   優勢勝 小野卓志 3段
 先鋒戦。永井、竹沢共左組みの両者。了徳寺学園の新人竹沢は90kg級の強化選手なれど体重差は30kg近く、永井に左釣り手を与えず半身に構える。一方、攻める永井は委細構わず、竹沢の首を抜いた形で左奥襟を掴み、右引き手を絞り、内股、内股巻込を盛んに仕掛ける。何度か試みた後の2分22秒、永井が半身状態の竹沢に、同じ作りから内股で跳ね上げて巻込めば、竹沢は堪らず横転、技あり。永井はそのまま袈裟固に固めて一本。新日本製鐵先取。

 次鋒の吉永と飛塚は、81kg級対90kg級の少し軽いクラス同士の対戦とあって、活発な動きの柔道。しかし、組み手争いが大半を占める内容で、2分14秒両者に指導1。その後も、吉永は、巴投や足取りから寝技に誘う変則柔道の飛塚の動きをよく捌いて引分ける。

 中堅戦は、森田と矢嵜の戦い。巨体で圧迫する森田に、軽重量級の矢嵜は組み合わず、1分24秒両者に指導1。その後防御姿勢の目立った矢嵜に指導2。3分6秒には、尚も技の出ない両者に指導が与えられる。後がなくなった矢嵜が終盤攻撃に転じるも、時既に遅くそのままブザー。新日本製鐵が2点リードする。

 副将戦。落合右組み、中野左の喧嘩組み手の戦い。互いに単発であるが、落合は得意の体落、中野は大外刈で攻め合う。2分23秒には、中野が大外刈を掛け、戻るタイミングに、落合が奥襟を握った体勢からの体落で中野を横転させ、有効を奪う。続いて、残る56秒に中野の大外刈の刈足を右足で払って今度は効果。そのまま5分の試合時間終了。新日本製鐵2年連続決勝戦進出を決める。

 大将の高橋と小野は、両者の序盤の激しい動きの後は静かな時が流れ、1分13秒に両者指導1。その後、高橋は得意の内股を連発するが、小野に釣り手を封じられ崩し切れず、内股が空打ちに終わる。ところが、高橋が攻め小野がかわす展開の中で迎えた中盤の3分3秒、組み際、高橋は一瞬の隙を衝かれ小野の小内巻込で尻餅を着き、有効を奪われる。終盤、高橋は猶も内股で追い込むが、その度に巧みに封じられ、空しくブザーの音が会場に響く。攻勢の高橋であったが、小野の一瞬の技に苦杯を喫す。
決勝戦

 強豪との準決勝戦を共に大差で制し、意気あがる両雄の決勝戦。綜合警備保障は平成13年以来5年ぶり、新日本製鐵は平成12年以来6年ぶりの優勝を目指し、ベストメンバーで臨む。

決勝戦

綜合警備保障A     4   −   1 新日本製鐵

(先鋒) 井上康生 5段 内股   永井亮平 4段
(次鋒) 小野俊教 3段 優勢勝   佐藤勇作 3段
(中堅) 大藤尚哉 4段 合せ技 森田祥一 3段
(副将) 村上和幸 3段 優勢勝   落合幸治 3段
(大将) 生田秀和 4段 内股   高橋徳三 4段

 先鋒戦は、永井の相手は注目の井上。171cm、126kgと重心の重い永井が井上にどう挑むか。永井は5年前の第51回全日本実業柔道団体対抗鳥取大会の準決勝戦で井上と対戦。敗れはしたが、井上の鋭い投げ技を重い腰で悉く受け、井上に一本を与えず、その存在感を発揮している。今回、井上の復調を図る上で興味のある一戦でもある。 試合が開始されると、永井は井上が組もうとする瞬間に技を仕掛け、井上を翻弄、井上に攻撃の暇を与えない。しかし、1分を過ぎる頃から井上が徐々に攻勢に転じ始め、素早い動きから大内刈、内股を連発。遂に、1分50秒に井上は、組み際の永井の一瞬の虚を衝き、奥襟を掴むや否や永井の股間に深く飛び込む内股。瞬間、永井の下半身は大きく跳ね上がり、虚空で半回転して裏向けに。勢い余って井上の引き手は離れるが、永井の巨躯は天井を仰いで畳に沈む。

 次鋒、170cmの小野対191cm長身の佐藤の戦い。小野が背負投、双手刈、大内刈と攻め立てるも、佐藤はどっしりと組んで受け流す。しかし、3分53秒に小野は右組みから左一本背負と見せて左大内刈を仕掛ければ、佐藤は横転し有効の宣告。続く4分3秒には技の止まった佐藤に指導1が与えられ、そのまま時間経過。新日本製鐵2点のリードを許す。

 中堅戦。大藤対森田、巨漢同士の戦い。開始早々8秒大藤の右組みから左の内股に森田は虚を衝かれて横転。有効のコール。しかし、1分15秒には森田が大藤の腕を右で抱えて大外巻込で効果を奪う。続く2分25秒、大藤が飛び込んで掛けた大内刈を、森田が見事な大内返しで技ありを奪う。そのまま上に圧し掛かり崩袈裟固で押さえ込む。新日本製鐵1点を挽回する。

 副将戦は、喧嘩組み手の両者、共に組み手争いで42秒に両者指導1、1分35秒には指導2を受ける。しかし、2分39秒には落合が払腰気味に右足を踏み出した瞬間を、村上が左足で払えば落合は微妙な姿勢で横転、これが効果となる。落合は猛反撃に移るが、一歩及ばずブザー。この瞬間、綜合警備保障の5年ぶりのV達成成る。

 大将戦。体格の勝る生田が、高橋を内股、大外刈で揺さぶる。高橋は攻撃の機を窺うも、生田は攻撃の暇を与えず。生田は52秒に大外刈で揺さぶり、続いて体勢の崩れた高橋に、飛び込んでの内股を放てば。高橋の体は大きく宙を舞って落下。高橋は得意の組み手に持ち込むまでに、生田の速攻に屈した。

 綜合警備保障は、井上、生田のベテラン勢と村上等若手選手がうまく噛み合って、旭化成Aの5連覇を阻み、新日本製鐵の悲願を打ち砕いた。試合終了後、綜合警備保障チームは5年ぶりの優勝の喜びに沸き返った。井上は、3試合とも鮮やかな一本勝で自身の復活を印象付けた、否、それ以上にチーム優勝の原動力となった。

このページの先頭に戻る
Copyright(c)2004 West Japan Judo Federation. All rights reserved.
HOME HOME