決勝戦
二十歳前後の新進気鋭の選手を揃えた新日本製鐵は尻上がりに調子を上げ決勝戦進出し、2年ぶり11度目の第3部優勝を目指す。一方のダイコロは、73kg級強化B指定の稲澤を擁し、今年入社の有力2新人を配した強力な布陣。初戦から他を圧倒する快進撃で堂々の決勝進出。男子第3部で実に24年ぶり、3度目の優勝を狙う。
先鋒戦。共に右の組み手。身長差は実に19cm。長身の新日本製鐵の新人小野が上から圧迫すれば、開始32秒、動きの鈍いダイコロ・吉薗に指導1が与えられる。吉薗は攻撃に移るが、身長差のある小野を攻めあぐむ。ところが、1分5秒、組み際に小野が長い脚を飛ばして、遠い位置から大外刈を放つと、吉薗は堪らず横転し、技ありとなる。その後、吉薗は挽回を期し、背負投、捨身小内刈で攻めるが、小野はこれをしのぐ。残り1分には、吉薗が小野を寝技の攻防から裏返して、縦四方固で固める。極まったかと思われたが、小野は見事4秒でこれを跳ね除け、難を逃れる。結局、このまま時間となり、この春高校を卒業した新人小野が先制点を挙げる。
中堅戦。ここまで共にオール一本勝の両者の対戦。左組みの両者、体重では遥かに新日本製鐵・吉崎が勝るが、逆に世界を舞台に修羅場をくぐって来たダイコロ・稲澤は奥襟を狙い、圧力を掛ける。しかし、吉崎はこれを許さない。稲澤は攻めあぐみ、動きは激しいものの技は出ない状況が続く。1分12秒、守勢の吉崎に指導1。その後は暫く両者の攻防となるも、動きの止まった2分33秒に両者にそれぞれ指導2、指導1が与えられる。終盤、リードを確信し、安全運転に切り替えたか、3分40秒、手数が減った稲澤にも指導2が与えられる。この宣告に意外な表情を見せた稲澤は、試合再開後の残り10秒、奮然、組むや否や、片襟から力任せに左大外刈で刈り込み、有効を奪う。時間切れ寸前のポイントで稲澤が勝利するも、未だ内容で新日本製鐵がリードを保つ。
大将戦。新日本製鐵・岩本右、ダイコロ・宮下左のケンカ組み手。開始早々、長身の岩本は奥襟をがっちり握り、猛攻を続ける。43秒、技の出ない岩本に指導1。宮下は、続く2分20秒には岩本の支え釣込足を大内刈に返して、技ありを奪う。その後の2分37秒には、宮下が無造作に場外に出で指導1を受ける。しかし、宮下はその直後の2分41秒、岩本を組み止めるや否や、長い左脚を岩本の右膝裏に掛け、体をあびせると岩本は背中から倒れて一本。ダイコロ逆転勝ちで3度目の栄冠。
決勝戦を争ったこの両チームは、来年は5人制の第2部に出場となる。
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