決勝戦
永年、実業柔道界の好個のライバルとして鎬を削ってきた両雄の対戦。昨年の全日本実業柔道団体対抗大会決勝戦の再現となった。
先鋒戦。中量級同士の両者、盛んに動く。組み際に手数の多い塘内は足技を繰り出すが決め技にならず。残り40秒、動きの止まった二村に指導1が与えられる。その後、互いの組み手十分にならないまま時間。旭化成まず1勝。
次鋒戦。喧嘩組み手の両者だが、大鋸は右奥襟を取って、十分な姿勢を保持し、試合の主導権を握る。その状態で迎えた中盤の2分16秒、大鋸が十分に組み止めた態勢から、相手が下がるところ、場外手前で相手の右足を鋭く刈込むと、郷は折れるように畳に沈む。
中堅戦。巨漢同士の対戦。高橋は森田を攻めあぐね、いつものような相手を支配する戦いぶりが影を潜める。1分に、高橋が無造作に小内刈を仕掛けると、森田が燕返気味に高橋の刈足を払う。高橋たまらず横転し「効果」が宣せられる。その後、高橋はより慎重になるが、対する森田も手数が減る。そうして迎えた1分49秒、森田が片襟から払腰を仕掛け、戻る瞬間、高橋が機敏に反応し、これも片襟で森田を担ぐような姿勢で左足を飛ばし、捻りながら相手左足を刈れば、森田は畳に背を激しく打ち据えられる。旭化成先鋒戦から3連勝で、早々と優勝を決める。
副将戦。これまた超重量級同士の対戦。開始早々、佐藤の大外刈を松山、得意の裏投で切返し、「効果」で先制する。その後、単調な攻防のあと、疲れの見えた佐藤に残り48秒、指導1が与えられ、そのままブザー。
大将戦。 左右の喧嘩組み手で、組み手十分になれない高橋は、開始13秒、片襟のまま木村を内股で跳ね上げると、木村は横転し「効果」。その後も高橋は、防戦の木村から1分45秒、大内刈で「効果」を奪うなど、ケレン味のない柔道で木村を圧倒。対する木村は、中盤に反撃に転じ、強力な払巻込で攻めれば、高橋かろうじて身をかわす。こうした攻防の後、高橋が2分58秒、引手を十分に握り、片襟から大きく飛び込んで内股に跳ね上げると、木村大きく宙を舞い、前方に背中から落下。高橋は棟田を屠った得意の内股で旭化成に一矢を報いる。
旭化成が危なげなく本年も男子第一部を制覇した。銅金杯受賞の高橋以外に、大鋸も全試合一本勝。塘内、松山の全日本選手権組も全勝と圧倒的な存在感を示した。対する新日本製鐵は、高橋が絶好調で、観客を魅了する華麗な一本勝の山を築くも、猶、力及ばず10年ぶりの優勝を逃した。
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