決勝戦、旭化成は得点力の高い重量陣から順に並べた意表をつく作戦。一方の中央競馬会はオーソドックスな布陣。
先鋒の旭化成高橋は期待通り豪快な大外刈一本で先制するも、次鋒旭化成松山は、押し気味に試合を進めながら、時間切れ寸前中央競馬会本郷の内股で横転。1対1のタイとされる。
中堅戦は、両者共に指導を受ける消極的な展開の後、残り僅かな時間を残して、旭化成監督兼選手の中村に指導が与えられ、反則負。この段階で旭化成1対2と反対に追い込まれる。
旭化成の副将、大将は共に90kg級の選手。対する中央競馬会は100kg級、100kg超級の重量陣。このまま中央競馬会が逃げ切り10年ぶりの優勝かと思われたが、副将、旭化成繁昌は、共に指導3の後、徐々に中央競馬会谷口を追い込み、反則負に陥れ再び点差を並べた。
大将戦は、共に試合終盤に指導2を受ける消極的な試合展開。そのまま引分け、代表決定戦で雌雄を決する展開を予感させた。こうなると、先鋒戦を早く終え、息の整った高橋を擁する旭化成が有利ではないか等々想像力を掻き立てたが、残り時間僅かの所でドラマが生まれた。場外際で中央競馬会猿渡の仕掛けた体落の軸足が大きく場外に踏み出し、指導3が与えられ、そのままブザー。旭化成が3年連続10度目の優勝を果たした瞬間であった。
薄氷を踏むような3試合を勝ち抜き三連覇を達成した旭化成は、優秀選手に輝いた高橋を軸に、繁昌、斎藤が試合巧者ぶりを発揮し大人の戦いを見せた。
用兵の妙を余すところ無く見せつけ、本大会で現役引退を表明した監督兼選手の中村は、自作自演で自らその花道を飾った。 |