西日本実業柔道連盟
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訪問記
出発
瀬戸口 正征 副団長
瀬戸口 正征 副団長
7月16日(木)贈呈品や各自の柔道着等荷物がかなり多くなったため、重量オーバーを心配したが何とか通関。タイ・バンコクを経由してラオス空港に到着、菊池氏の出迎えを受けた。雨季に違わず猛烈なスコールというかストームに見舞われ、ずぶぬれになってホテルに到着。

菊池正敏氏は九州大学柔道部OBで柔道6段、間組社員(元)としてネパール、シンガポール勤務の経験もあり、同社を早期退職後、ラオスにおいてJICAのシニアボランティアとして柔道の普及発展に尽力されてきた人である。昨年に続きお世話になる。

柔道指導
7月17日(金)から20日(月・祝)まで、午前と午後の2回、各2時間半の練習指導を、述べ7回実施した。

今年12月には当地でSEA GAMES(彼らが最大の目標としている東南アジアのオリンピック)が開催されることもあり、モンゴルへ5名、また日本にも主力選手を派遣するなど選手強化が進んでいる。

そんな中、全国から集 まった合宿中の40名余りは真剣そのもの。代表選手に混じって子供達の志も高く懸命に練習に取り組んでいた。国立競技場とは言え雨漏りする体育館に98畳の柔道場。嘉納治五郎先生の肖像を正面に掲げ、正座・黙想・礼など、正しく指導がなされていた。

記念撮影
桑原指導員の指導風景
記念撮影

桑原指導員の指導風景

今回は直後にタイの国際大会や8月にプレシーゲームズも控えており、激しい乱取り稽古よりも、各指導員の得意技を中心に各回約1時間を解説と反復練習に当てた。まず桑原指導員が大外刈とその応用編を指導、今回大柄の選手は少なかったが大いに参考になったと思う。

次に中山指導員は寝技を中心に、三角絞から三角固、さらには十字逆、小手返など多彩に披露指導。3番手は磯指導員で、左右喧嘩組み手からの一本背負とその応用、大内刈から巻込小内、さらには背負投への変化などを指導。最後の鳥入指導員は得意の背負投から小内刈の他、奥襟を持たれた時の背負の入り方などユニークなテクニックも指導した。

中山指導員の指導風景
中山指導員の指導風景
指導内容を日本語から英語に訳し、それをラオス語に通訳して皆に伝える。十分には伝わらないものの、身振り手振りや片言の英語、何よりボディランゲッジ。「柔道」という国際語を使ってのコミュニケーションはお互いにその気さえあれば相通ずるもの。これまで競技柔道が中心だった若き指導員達には、教えることの難しさ、さらに言葉の通じない中での戸惑いなど、いろいろと良い経験になったことと思う。

現地の選手にセンスの良さが目立ったが、これには「投げ打ち込み」が役立っているのではないかと思われた。稽古の最後、疲れたきった中で、しっかり「投げ」「投げられる」という「捨稽古」を、無意識に近いなかでお互いが繰り返す。「投げられて技を覚える」という原点を思い出させてくれた思いである。

最後の練習では、指導員たちの得意技を再度復習、何人かでも教えた技を身につけて欲しいもの。練習後には選手達の要請で記念撮影、美しい師弟愛のツーショットなど、やっと馴染んできた子供達と別れ難さを覚えた。

皆無事に、7回の指導を終えて納得の表情である。大橋団長から締めくくりのご挨拶があり、大方の予定を終えた。
出会い
指導員達は、柔道を軸として生きる数多くのお手本に出会い、とても参考になったように思う。
まずは「菊池正敏氏」、先述したように生涯柔道を志し、国際貢献にも寄与する文化人としての行き方には驚きをも感じたであろう。この菊池氏を強力にバックアップされているラオス柔道連盟の「ケマサ会長」は、近畿大学に学び天理教名古屋大教会役員であり、ラオスやタイでトヨタ自動車の代理店を経営される国際実業家である。柔道のことにかぎらず日本の良き理解者である。

また、これから 菊池氏と同じ道を歩もうと志す新任ボランティアの「馬場あゆみ氏」は広島大学柔道部OGで皇后杯にも出場経験のある実力者、今後のラオスでの柔道指導に期待したい。また「大道隆氏」は王子製紙研究開発本部森林資源研究所の上級研究員として現地に赴任する傍ら、柔道指導も熱心で日本柔道を広めるべく国際交流にも努力されている。
大道氏、馬場氏、瀬戸口氏
左から大道氏、馬場氏、瀬戸口氏
さらに今回、運転手兼通訳としてお世話になった「Mr.Air(通称エーさん)」は、かつてラオス難民として来日し苦労して短期間で日本語をマスター、その後オーストラリアに移り結婚し英語も堪能、我々の柔道指導をラオス語に通訳するだけでなく、指導員達を市内案内してもらうなど大いに助けてもらった。
表敬訪問
17日には団長・副団長でラオス国家スポーツ委員会を表敬訪問し、ソンプー副総裁に日本から持参の品をお贈りした。卓上型柔道得点版や各種サポーター、テーピング、トレーニング用縄跳びセット、アイシングバッグ、スポーツタオル、スポーツバッグ等である。副総裁からは感謝状をいただき、今回の訪問指導がSEA GAMESに向けて大いに役立つだろうとお礼の言葉があった。

また最終日の21日には、駐ラオス日本大使館の 宮下正明大使を、一行全員で表敬訪問した。大使はお忙しい中にも気さくに懇談してくださり、我われの柔道指導訪問を高く評価していただいた。
ラオス国家スポーツ委員会を表敬訪問
宮下正明大使を表敬訪問
ラオス国家スポーツ委員会を表敬訪問
宮下正明大使を表敬訪問
練習後記
トラック荷台で道場往復
トラック荷台で道場往復
ラオスはちょうど雨季、到着時と練習初日が大雨で、雨漏りをモップで拭き取りながらの練習であった。その後は天候に恵まれ、汗びっしょりの柔道着も比較的早く乾燥できたが、その分とても暑く、ペットボトルがすぐに空っぽになるほどであった。

練習後、各人持参のお土産を受講者達に配ると、皆大変に喜び、感謝して大切そうに持ち帰った。物余りの今の日本と異なる、この少年少女達の純朴な可愛いさに触れ、物質文明について考えさせられたものである。

ホテルの朝食は質素で、パンと果物、目玉焼き程度。近くの屋台のお粥が美味かった。ラオス料理は香辛料がきつく、野菜類というより野草類が中心で健康に良いのは明らか。フランス統治が残した文化の一つが 「パン」、固いフランスパンに野菜やハム・チーズ・ツナ等をはさんだサンドイッチはボリュームたっぷりで旨い。スープ、コーヒー、フルーツ盛合せをセットで日本円約350円。

また練習後の生ジュースが最高、マンゴー・バナナ・パイナップル・ウォーターメロン(スイカ)等お好みを絞りたてでいただく。ラオス式ラーメンには生のもやしや例の野草類をちぎってトッピング、なかなかの味ではあった。 餃子の美味しい店や民族舞踊を見ながらの食事も思い出に残る。地元ビール「ビアラーオ」は旨かったが、焼酎「ラオ・ラーオ」(50度)はきつくて指導員達には不評。

帰国前日、練習全てが終わった夜、受講者達とお別れパーティを行った。焼肉食べ放題、野菜・果物も豊富で一人250円(飲物別)、大いに盛り上がり、乾杯の連続、調子に乗って翌朝のトレーニング参加を承諾。朝6時、快晴の陸上競技場で朝トレ、持久走やダッシュ、ストレッチ等で、心地よい汗をびっしょり。 帰国時、ラオス空港に受講者達10数名が見送りに来てくれた。指導員達はそれぞれ愛弟子と名残を惜しむ。素直な明るい笑顔のこの受講者達がSEA GAMESで大活躍することを祈ろう。

バンコク経由でほぼ予定どおり22日早朝6時過ぎ、関西国際空港に到着、無事を感謝し、お互いの健闘を称えあって解散した。
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